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夢のおぼえがき [おぼえがき]

夢のおぼえがき・・・

 安心と落胆の余韻を半分づつ残しながら目が覚めた。ぽつんと座ってまどろんでいた。

 たどり着くと近代的なビルの壁の上方で 刻む時間は十五分前。
 戸惑うこともなくそのビルの中へと急いだ。早く受付を済ませなくてはと 胸の鼓動を強くする。
 そこは大学受験の試験会場。もう既に多くの受験者がいるのがわかる。受付が判らない小さなトートをひとつ持った自分は 自身の子供と言っていいくらいの世代の受験生の中に 彼らの付き添いの親と間違われてもおかしくないと思いながら 教室らしいところへ進む。数秒前に廊下にいた受験生は既に着席していた。
これから自分も その中で試験を受けるということを自覚するのだが 彼らみなが持っているA5サイズくらいの黄緑のカードのようなものを自分は持っていないことに気付く。数日前に見た親の介護保険証みたいだ。トートの中を探すと自分のは白い色のカードが。これでいいのか?そして印鑑も添えなくてはならないと思い出し同じく取り出す。自分はどこに座るのだろう。でも判らない。
もう既にビルの前で見た時間は かなり進んで未だに受付が済んでいない自分に焦りを感じる。
後で理解するのだが どうやらこのカードは受験票らしい。廊下にいたまだ室内に入っていないひとりの受験生に声をかけるのだが 彼もまた黄緑色のカードを持っていない。ありがとうと 答えのない問いにお礼を言ってさらに受付らしいところを探す。
するとそこには 見覚えのある自分が綴っているブログ仲間の二人がいる。開設したころからお世話になっている有難い存在なのである。実際にはあったことはないが。彼らに挟まるように三人掛けソファーに座るのだが 彼らは受験生ではない 黄緑色のカードが何なのか気になっていると 「あれ保険証だよ!」と ニュアンスで教えてくれた。それに印鑑も持っているから 受験出来るんだと おかしな解釈に胸をなでおろし 自分はツイている!とさらにおかしな自信を持つ。更に壁には 試験のマークシートにチェックする回答の 正解番号や文字がポスターに掲げられていることを認識し それを覚えなくてはと思うのだがもうそんな時間はない。
「あ、やっぱり駄目だ。」教室に入ることを拒み始め どうせ駄目なんだろうから もう家に帰ろうと決意してブログ仲間のところへ戻るのだが諦めきれない。何度も悔やんだ過去が 今もしかしたら報われる?人生が変わるかもしれない。色は違うけれどカードと印鑑を持っている。それにあの壁のポスターの正解なんか覚えなくても 経験というものがあれば報われる!若い子たちに学力では敵わないけれど!なんておかしな期待が 雲間から差し込む強い日差しのように自分を奮い立たせる。まるで一か八かの賭けをするようかのように。 
しかし 自分の子供くらいな若い世代と試験を受けて もし合格したとしても 自分が立身して世に出ても活躍する時間は わずかの年月しかない。やっぱり場違いなんだな。根拠のない期待を持ったって またいつもみたいに後悔するんだろうと 自身の功績無い過去と見えない未来の歯がゆさに襲われて やっぱりここにいてはいけないんだなと会場を去ろうとするところで 目が覚めて しばらく鮮やかすぎる夢を振り返っていた。手軽な紙にメモを取って。その安心感と落胆感はとてもリアルに感じていた。

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布団をたたもうと起き上がったけれど 子供の頃から どこか自分の記憶に焼き付いた 第三者を見るが如く傍から想像する ぽつんとひとり座り込んで肩を落とし 何か考え込んでいる姿をしていることが判った。

疲れているのかな。理想と現実は決して同じではない。若くして一旗揚げて さらにまた自身の夢を追いかける新しいスタートラインを歩み出した者を羨ましく思っても 彼は彼 自分は自分。情けなさにつぶされているほどの 人生の時間の余裕はもうないことに自己嫌悪を感じる朝だった。思い出さないで思い出さないで 前向きにと奮い立たせてきたけれど 久しぶりのボディーブローのように胃が痛くなった。

一瞬でも人を魅了するような功績があったわけではなく これからもそのような人生ではないだろう。派手さがない分 長い幸せを得られるとも限らない。否 そのような人の方が大半なんだと思う。流れ星の如く誰もが光り輝くことに憧れるのだろう。そうでないとしても 不幸を望むことはしたくないだろう。ため息つくことが随分と多くなった。一途というべきか諦めが悪く頑固なところ そして悔やみ癖なところ というべきか・・・嫌なところが親に似たものだ。

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